インビザラインで噛み合わせが悪くなった?違和感の原因と対処法を解説

インビザライン矯正中は、歯が動いている過程で一時的に噛み合わせに違和感が出ることもありますが、場合によっては思わぬトラブルにつながることもあります。
本記事では、インビザラインで噛み合わせが悪くなったと感じる原因や、すぐにできる対処法などについて詳しく解説します。
「今の違和感は正常なのか?」「インビザラインで本当に噛み合わせまで治せるのか?」と疑問を持っている方にとって、納得のいく判断ができる一助となる内容ですので、ぜひ参考にしてください。

湊 寛明
九州大学歯学部卒業後、大手矯正歯科グループで院長を務めるなどして経験を積む。2017年、ピュアリオ歯科・矯正歯科 田町三田院を開院。同年医療法人社団ピュアスマイルを設立し、理事長を務める。日本矯正歯科学会、日本成人矯正歯科学会、日本舌側矯正歯科学会、世界舌側矯正歯科学会、日本歯科審美学会など、多数の学会に所属している。
目次
- インビザライン矯正中に噛み合わせがズレたと感じるのはなぜ?
- 治療中に違和感が出るのは“歯が動いている証拠”
- 理想的な噛み合わせの4つの条件とは?
- 噛み合わせに強い違和感を感じたら早めに歯科医へ相談を
- 医師に相談すべき4つの症状や違和感
- どれくらい違和感が続いたら相談すべき?
- インビザラインで噛み合わせが悪くなる6つの原因
- ①装着時間が足りていない
- ②マウスピースの装着が不十分(浮き・ズレ)
- ③マウスピースが破損している
- ④食いしばり・歯ぎしりの癖がある
- ⑤虫歯や歯周病が原因の場合もある
- ⑥ドクターの治療経験が不足している
- インビザラインの噛み合わせトラブルが起きたときの対処法
- まずは担当医に相談する
- マウスピースの装着方法・時間を見直す
- 再スキャンやリファインメント(再治療)を検討する
- インビザラインで噛み合わせは治せる?改善できる症例と条件を解説
- インビザラインで改善が期待できる噛み合わせの症例
- インビザラインは3Dシミュレーションで噛み合わせまで精密に設計できる
- 部分矯正では噛み合わせ改善が難しい場合もある
- 後悔しないために。インビザラインは信頼できる医師と進めよう
- Oh my teethなら無料3Dスキャンで未来の噛み合わせまでチェック可能
インビザライン矯正中に噛み合わせがズレたと感じるのはなぜ?
インビザライン矯正を始めてから、「なんとなく噛み合わせがズレた気がする」と感じる方は少なくありません。こうした違和感に戸惑い、「治療が失敗したのでは?」と不安になる方もいるでしょう。
しかし、インビザラインによる矯正の過程で一時的に噛み合わせが変化するのは、ごく自然なことです。
ここでは、インビザライン矯正中の違和感について詳しく解説していきます。
治療中に違和感が出るのは“歯が動いている証拠”
インビザラインは、透明なマウスピースを段階的に交換しながら歯を動かしていく治療法です。
この過程では、歯が少しずつ移動していくため、これまでとは異なる噛み合わせの状態になることがあります。
たとえば、これまでしっかり当たっていた奥歯が浮いたように感じたり、前歯が引っかかるようになったりするのは、歯並びが変化している途中段階に起こり得ることです。
しかしこのような違和感は、治療の進行によって自然に解消されていくケースがほとんどなので、矯正中の違和感は、歯がしっかりと動いている「良い兆候」と考えて良いでしょう。
理想的な噛み合わせの4つの条件とは?
噛み合わせに違和感を覚えたときは、「そもそも理想的な噛み合わせとはどういう状態なのか?」を知っておくと判断の手助けになります。
以下の4つのポイントは、一般的に良好な咬合(噛み合わせ)の目安とされています。
上下の歯の正中が合っている
上の前歯が下の前歯より少し前に出ている
上の前歯の先端が下の前歯を2〜3mm覆っている
両側の奥歯が均一に当たっている
インビザライン治療では、これらのポイントを目指して少しずつ歯の位置を整えていきます。
そのため、治療中の違和感は「目標に向かって変化している証拠」ともいえるのです。
噛み合わせに強い違和感を感じたら早めに歯科医へ相談を
インビザライン治療中に多少の違和感を覚えるのは一般的ですが、明らかに噛み合わせに異常を感じた場合は、できるだけ早く歯科医に相談することが大切です。
医師に相談すべき4つの症状や違和感
インビザライン矯正中、以下のような症状に心当たりがある場合は、「一時的な違和感」ではなく、治療計画のズレや噛み合わせトラブルが起きている可能性があります。
明らかに上下の歯が噛み合わなくなった
奥歯だけが当たって前歯が浮いている
顎関節や首・肩に負担を感じるようになった
食事がしづらい、発音がしにくいなど、日常生活に支障が出ている
こうした症状は、インビザラインの装着ミスや計画のずれ、マウスピースの破損などが発生している可能性があります。
どれくらい違和感が続いたら相談すべき?
噛み合わせの違和感が1週間以上経っても改善しない場合は、担当医に相談しましょう。
一般的に、新しいマウスピースを付けてから慣れるまでには3日〜1週間程度かかると言われているため、それ以上経っても改善しない場合は、何かしらのトラブルが発生している可能性が高いです。
「この程度で受診していいのかな」と遠慮せず、気になることがあればすぐに担当の医師に相談してください。
インビザラインで噛み合わせが悪くなる6つの原因

インビザラインは、装着中に少しずつ歯を動かしていく繊細な治療法です。
そのため、日々の使い方や癖、治療設計のわずかな違いによって、噛み合わせにズレや違和感が生じることがあります。
ここでは、インビザラインで噛み合わせが悪くなったと感じる原因としてよくある6つのパターンをご紹介します。
①装着時間が足りていない
噛み合わせに違和感が生じている場合、インビザラインの装着時間が不足している可能性が高いです。
インビザラインは、1日20〜22時間以上の装着を前提に歯を動かすよう設計されています。
そのため、この装着時間を守れていないと、マウスピースが歯に適切な力をかけられず、歯が計画通りに動かなくなります。
そうなると、上下の歯の位置関係に影響が出て、噛み合わせにズレや違和感が生じる可能性があるのです。
②マウスピースの装着が不十分(浮き・ズレ)
マウスピースの装着が不十分だと、予定通りの歯の移動が行われず、噛み合わせがずれる原因になります。
インビザラインは歯にぴったり密着させてこそ効果を発揮する矯正法です。しかし、マウスピースの装着が甘く、浮いていたり歪んで装着されていたりすると、歯に正確な力が伝わらず、上下の咬み合わせの位置もズレてしまいます。
ゆえに、チューイー(インビザラインなどのマウスピース矯正で、マウスピースを歯にしっかりフィットさせるために使用するシリコン製の補助具)も使いながら、毎回しっかり装着することが重要です。
③マウスピースが破損している
マウスピースが破損・変形している状態で使用を続けると、噛み合わせに違和感が出る可能性が高いです。
インビザラインで使用するマウスピースは、厚さ約0.5mmと非常に薄く、繊細な素材でできています。
そのため、マウスピースを装着したまま飲食したり、着脱時に乱暴に扱ったりすると、ひび割れや欠けが生じることがあります。
さらに、マウスピースは熱にも弱く、お湯に浸けたり、真夏の車内など高温の場所に放置したりすると、変形してしまうこともあるため注意が必要です。
このように破損・変形したマウスピースをそのまま使用していると、歯に均等な力がかからず、矯正力が弱まって歯の動きにズレが生じてしまいます。
違和感がある場合や、マウスピースに亀裂・変形が見られる場合は、すぐに歯科医に相談し、必要に応じて再作製を依頼しましょう。
④食いしばり・歯ぎしりの癖がある
強い食いしばりや歯ぎしりの癖があると、マウスピースや歯に負担がかかり、噛み合わせが乱れる原因になります。
特に就寝中など無意識下で強く噛みしめる癖がある方は、マウスピースに過剰な力がかかり、アライナーの変形や歯の移動のズレを引き起こすことが多いです。
そのため、歯ぎしりや食いしばりの自覚がある方は、事前にドクターに相談すると安心でしょう。
⑤虫歯や歯周病が原因の場合もある
噛み合わせの違和感は、虫歯や歯周病によるものの可能性もあります。
インビザライン矯正中は、マウスピースを1日20時間以上装着するため、唾液による自浄作用が働きにくく、丁寧に歯を磨いていても虫歯や歯周病のリスクが高くなりやすい状態です。
その結果、虫歯による痛みや、歯ぐきの腫れ、歯の揺れなどが起こると、噛んだときの違和感や不快感につながることがあります。
こうした違和感は矯正による動きとの区別がつきにくいケースも多いため、違和感が長引く場合は、虫歯や歯周病の有無も含めて歯科医に相談するのが安心です。
⑥ドクターの治療経験が不足している
ドクターの経験不足は、噛み合わせトラブルの大きな要因となることがあります。
インビザラインは、見た目の歯並びだけでなく、咬合まで含めて綿密に設計することが必要です。
しかし、経験の浅いドクターだと、噛み合わせまで適切に考慮されていない治療計画になってしまいます。
また、治療途中で問題が起きた際に、咬合調整や再設計の判断が遅れるリスクもあります。
このように、インビザライン治療は噛み合わせに対する知識と調整経験が豊富なドクターに担当してもらうことが重要です。
インビザラインの噛み合わせトラブルが起きたときの対処法
インビザライン矯正中に噛み合わせのズレや違和感が出てきた場合、自己判断で放置せず、適切に対処することが重要です。
ここでは、トラブルが起きたときに取るべき3つの対処法をご紹介します。
まずは担当医に相談する
噛み合わせに違和感があるときは、まず何よりも担当医への相談が最優先です。担当の歯科医であれば、歯の動き方や治療の進行状況を確認し、違和感の原因を正確に特定することができます。
特に、「明らかに噛み合わない」「マウスピースが浮く」「生活に支障がある」といった症状がある場合は、治療計画の調整が必要なケースもあります。
「様子を見よう」と判断する前に、些細なことでも相談する姿勢が、より安全で確実な矯正につながります。
マウスピースの装着方法・時間を見直す
噛み合わせのズレや違和感を感じたときは、マウスピースの装着方法と装着時間を一度見直してみましょう。
インビザライン矯正では、食事や歯磨きの時間を除いて1日20〜22時間以上の装着が必要です。
この時間を守れていないと、歯が十分に動かず、計画にズレが生じて噛み合わせに影響が出ることもあるので注意しましょう。
また、正しい装着方法も矯正効果に大きく関わります。
マウスピースは手でしっかりはめ込むだけでなく、「チューイー」と呼ばれるシリコン製の補助具を使用することが推奨されています。
装着直後にチューイー噛むことで、アライナーが歯にしっかり密着し、浮きやズレを防ぐことが可能です。
自分ではきちんと使っているつもりでも、装着時間が不足していたり、チューイーの使用を忘れていたりするケースは少なくないので、改めて使用状況を振り返ってみましょう。
再スキャンやリファインメント(再治療)を検討する
違和感が強く、マウスピースが合わなくなってきたと感じる場合は、「再スキャン」や「リファインメント」と呼ばれる再調整を行うことがあります。
再スキャン:現在の歯並びの状態を再度スキャンし、そこから再度治療計画を立て直すプロセス
リファインメント:治療途中や終盤で思い通りに歯が動かなかった場合に、追加でアライナーを作成して再調整を行う
このような追加対応は、精度の高い治療を実現するための一環です。
違和感がある状態を無理に続けるよりも、早めに軌道修正する方が満足のいく結果につながるので、方針の転換を医師に相談してみましょう。
インビザラインで噛み合わせは治せる?改善できる症例と条件を解説
インビザライン中は、噛み合わせに違和感が生じることがありますが、適切に治療を続ければさまざまな不正咬合を改善することができます。
ここでは、インビザラインで改善が期待できる噛み合わせの症例と治療を行う際に踏まえておきたい条件について解説します。
インビザラインで改善が期待できる噛み合わせの症例
インビザラインでは、次のようなさまざまなケースで噛み合わせの不具合を改善可能です。
出っ歯(上顎前突):前歯を後方へ下げ、前後のバランスを整える
受け口(下顎前突):上下の前歯の位置を調整し、かみ合わせを改善
開咬(オープンバイト):上下の前歯が噛み合わない状態を閉じるように調整
過蓋咬合(ディープバイト):咬み込みが深すぎるケースにも対応可能
叢生(ガタガタの歯並び):歯列全体を整えることで、噛み合わせも改善
すきっ歯(空隙歯列):隙間を閉じることで咬合バランスを整える
このように、インビザラインは見た目だけでなく、噛み合わせのズレが気になっている方でも、十分に対応できる可能性があります。
インビザラインは3Dシミュレーションで噛み合わせまで精密に設計できる
インビザラインでは、3Dシミュレーションツールを使って、最終的な歯並びと噛み合わせを事前に可視化できます。
つまり、治療前から「どのように歯が動いて、最終的にどう噛み合うか」を確認しながら矯正を進めることができるのです。
また、万が一治療途中で違和感があった場合にも、シミュレーションと照らし合わせながら柔軟に調整できるため、しっかりリカバリーできるのがインビザラインの強みです。
部分矯正では噛み合わせ改善が難しい場合もある
注意したいのは、噛み合わせを整えたい場合は「全体矯正」を前提に考える必要があるという点です。
インビザラインには、前歯のみを対象とした「部分矯正プラン」もありますが、これは見た目の改善を目的とした軽度の症例に限定されることが多く、噛み合わせの調整までは難しいケースがほとんどです。
「奥歯の噛み合わせも気になる」「口を閉じたときの違和感をなくしたい」という方は、全体矯正(インビザライン フルなど)を選択し、咬合までしっかり設計してもらうことが重要です。
後悔しないために。インビザラインは信頼できる医師と進めよう
インビザラインは、アライナー(マウスピース)の性能だけでなく、治療を担当する歯科医師の経験や設計力によって、結果が大きく左右される矯正方法です。
特に噛み合わせまでしっかり整えたい場合には、歯の動きや顎のバランスを総合的に診られる医師かどうかが非常に重要になります。
そのため、矯正治療に精通した医師が在籍しているかどうかは、信頼できるクリニックを選ぶうえで必ず確認しておきたいポイントのひとつです。
なかでも注目したいのが、日本矯正歯科学会が認定する「認定医」や「臨床指導医」の有無です。
これらの資格は、矯正に関する専門的な知識と臨床経験を積んだ医師であることの証であり、より的確な診断と治療計画が期待できます。
後悔しないためにも、矯正専門医の経歴や保有資格をホームページなどで確認したり、無料カウンセリングで気になる点を直接質問してみたりすると安心でしょう。
Oh my teethなら無料3Dスキャンで未来の噛み合わせまでチェック可能
インビザラインで噛み合わせまで整えたい方には、Oh my teeth(オーマイティース)の無料スキャンがおすすめです。
Oh my teethでは、矯正開始前に専用の3Dスキャナーを用いた無料の歯並び診断を実施しています。
このスキャンデータをもとに、歯がどのように動いていくか、最終的にどんな噛み合わせになるかまでシミュレーションできるのが大きな特長です。
また、診断は歯科医師が監修しており、噛み合わせの状態や矯正適応の有無も専門的な視点でチェックしてもらえます。
インビザラインで「見た目も噛み合わせもしっかり整えたい」とお考えの方は、まずはOh my teethの無料スキャンで、自分の歯並びと噛み合わせを確認してみてはいかがでしょうか。
