アンカースクリューで矯正したら口ゴボは改善できる?気になる必要性や費用について解説

「意識していないと口が開いてしまう」「無理に口を閉じようとすると、口元に力が入りおちょぼ口になってしまう」そんなお悩みをお持ちではありませんか?
口ゴボの症例によりますが、今はアンカースクリューを併用した矯正で、外科手術をしなくても口ゴボを改善できるケースが増えました。
そこで本記事では、口ゴボ治療におけるアンカースクリューの必要性や、気になる費用についても解説していきます。
「口ゴボは矯正で治せるの?」「アンカースクリューがなぜ効果的なの?」と疑問をお持ちの方は、ぜひご覧ください。

木村真由美
Oh my teethでのマウスピース矯正を経て、2021年6月に株式会社Oh my teethにジョイン。マウスピース矯正経験者としてOh my teethのオウンドメディア「歯科矯正ブログ」にて記事を更新中。ミッションは「歯並びに悩むすべての方に歯科矯正の確かな情報をお届けすること」。
目次
- そもそも口ゴボとは?
- アンカースクリューで効率よく口ゴボを矯正できるのはなぜ?
- アンカースクリューとは?口ゴボ矯正で絶対必要?
- アンカースクリューは痛い?痛くない?
- 口ゴボに対するアンカースクリューの矯正効果は?
- アンカースクリューは絶対必要?
- 口ゴボの矯正治療でアンカースクリューが必要なケース
- 強固な固定源確保のため
- 歯の全体的な後方移動のため
- 歯の圧下のため
- アンカースクリュー併用矯正のメリット|口ゴボの治療
- 外科手術の回避
- ヘッドギア装着の負担削減
- スムーズな矯正治療の進行
- アンカースクリュー併用矯正のデメリット|口ゴボの治療
- アンカースクリューの脱落
- 感染リスクや歯根の損傷
- 外科手術と比べると治療期間が長い
- アンカースクリュー併 用矯正で口ゴボを治せないケース
- 骨格の問題
- 美容整形・形成外科の適応症例
- 年齢や健康状態の問題
- アンカースクリュー設置の口ゴボ矯正治療にかかる費用は?
- アンカースクリューの値段相場:1本あたり2〜3万円
- 【矯正方法別】費用の相場
- 支払いが不安なときはデンタルローンやトータルフィーがおすすめ
- アンカースクリュー併用の矯正で口ゴボからきれいなEラインへ!


口ゴボとはEラインと呼ばれる鼻先とあご先を結んだ線から、唇が前に飛び出ている状態のこと。主に口ゴボは次の4つのタイプに分けられます。
上顎前突タイプ(出っ歯やガミースマイル)
上下顎前突タイプ(上下ともに歯が前に出ている)
アデノイド顔貌タイプ(下あごが小さかったり、後方に位置していたりする)
美容的問題タイプ(鼻の高さや唇の厚さなどが原因)
口を無理に閉じようとすると、人中(鼻の下の溝)が長く伸びて見えたり、あごに梅干しのようなシワ(オトガイ筋)が出てしまうことがあります。また口元が強調されて、面長に見えてしまうことも。
しかし口ゴボは、外見的な「美しさ」の問題だけではありません。
たとえば、口元が前に突出していることで口を閉じにくく、意識していないと口が開いてしまう「口唇閉鎖不全」(お口ポカーン状態)を引き起こします。
そして口呼吸になりやすいため、唾液の量が減り自浄作用も落ちてしまうことで、虫歯・歯周病・口臭の原因に。
また、噛み合わせにも悪影響を与え咀嚼機能の低下や頭痛、肩こりを起こすこともあるほどです。
このように口ゴボは審美的な問題だけでなく、健康に直接影響することがあるので楽観視せずに、治療することをおすすめします。

口ゴボとは?原因・治し方・費用まとめ|自力NGの理由も徹底解説!

アンカースクリューで効率よく口ゴボを矯正できる主な理由は、アンカースクリューが強固な固定源として使えるためです。
たとえば、固定源にしたい歯が小さすぎたりして使えない場合、代わりにアンカースクリューを固定源とすることができます。
またアンカースクリューは歯を後方に動かすのが得意なため、口ゴボの治療と相性がいいとされています。
アンカースクリューを口の奥に設置すれば、前歯と奥歯で引っ張り合う反作用の影響を受けずに、歯をスムーズに後方へ動かすことができるからです。
このようにアンカースクリューを矯正と併用することで、効率よく口ゴボを矯正治療できます。

アンカースクリューとは、サイズ直径1.4mm程・長さ6mm程のとても小さなチタン製の医療用のネジのこと。
このアンカースクリューは矯正治療の際に歯槽骨やあごの骨に設置して、歯を動かす際に必要な固定源にすることが目的です。
また、アンカースクリューを使った矯正は「インプラント矯正」とも呼ばれています。
しかしアンカースクリューは治療後には除去するため、一生設置したままのインプラント歯とは治療目的が異なります。
そしてアンカースクリューは口ゴボ矯正において、絶対に必要というわけではありません。口ゴボの状態に応じて、ドクターが必要か不必要かを診断して設置します。
アンカースクリューの必要性については、この後でも詳しく解説していきますので、そちらもご覧ください。

歯科矯正で使うアンカースクリューとは?気になる痛みや費用も解説
アンカースクリューは痛い?痛くない?
アンカースクリューは数ミリの歯科矯正用ネジとはいえ、「ネジを歯茎に埋め込むなんて、痛くないの?」と恐怖心を抱く方が多いのではないでしょうか。
しかしアンカースクリューは想像している以上に痛みが少ない、といわれていますが、痛みを感じる人もいます。
場面ごとにどのような痛みがあるのか、見ていきましょう。
アンカ ースクリュー設置時・除去時
設置するときには局所麻酔を打つため、痛みはほとんど感じません。また設置時間も、アンカースクリュー1本でわずか10分から15分ほど。
実際にアンカースクリューを設置した人からは「痛みを感じず、あっという間に終わっていた」「親知らず抜歯のほうが、何十倍も辛かった」という感想が聞かれます。
またアンカースクリューを外すときは、痛みがほとんど出ないため麻酔すら打たないケースが多いです。
設置後
アンカースクリューを設置して数日は、軽い痛みや違和感を生じるケースがあります。しかし中には「痛すぎて眠れなかった」という人も。
このようなときは、無理せずにクリニックから処方されている痛み止めを飲んでください。
万が一「我慢できないほど痛い」というときは、炎症を起こしている可能性もあるので、すぐにクリニックに連絡することをおすすめします。
一般的にアンカースクリューは痛みが少ない傾向ですが、痛みを感じるケースもあるということを覚えておきましょう。
治療中
アンカースクリューが頬や舌にあたって、口内炎ができてしまい痛みを感じる場合があります。
クリニックから出されるワックスなどを上手に使って、口内炎を悪化させないようにしてください ね。
口ゴボに対するアンカースクリューの矯正効果は?
アンカースクリューは前歯を後退させる動きが得意なため、口元を引っ込める口ゴボの矯正治療と相性が良く効果絶大です。
しかも、口ゴボが原因で「面長に見える」「人中が長く見える」といったコンプレックスを解消できることも。
たとえば口ゴボを治療することで、口元のボリュームがなくなり面長に感じていた顔立ちが気にならなくなります。
また、口元の突出が改善されたことで口を閉じやすくなり、口元に力が入り間延びして見えていた人中も短くなったように見えます。
このように面長や人中のコンプレックスの悩みまで解消できるのは、素晴らしいアンカースクリューの矯正効果と言えるのではないでしょうか。
アンカースクリューは絶対必要?
先にもお話した通り、アンカースクリューは口ゴボの矯正治療において、絶対に必要というわけではありません。
軽度の出っ歯が原因となった口ゴボのケースなどでは、アンカースクリューを使わない通常の矯正で治療することが可能だからです。
もし歯の重なりもひどくなく、IPR(歯の研磨処置)だけで歯を動かすスペースを確保できるような場合には、マウスピース矯正でも口ゴボの改善が期待できます。
このように軽度の歯並びの悪さからくる口ゴボの場合には、アンカースクリューを使う必要がありません。
下記では、実際に マウスピース矯正 Oh my teethで出っ歯を治した症例写真を掲載しているので、参考にしてみてください。



口ゴボを矯正治療する際にアンカースクリューが必要になるのは、下記のケースに当てはまるときです。
強固な固定源の確保が必要なとき
歯の全体的な後方移動が必要なとき
歯の圧下が必要なとき
強固な固定源確保のため
強固な固定源を確保するため、アンカースクリューが必要になります。
なぜなら、固定源にしたい歯が小さすぎたり虫歯などで損失していたりする場合は、強固な固定源を確保できなくなってしまうか らです。
また「反作用」と呼ばれる前歯と奥歯が引っ張り合ってしまう動きを、アンカースクリューが固定源となって防ぐためでもあります。
このように口ゴボを矯正で改善するためには、しっかりとした固定源が必要になるため、圧力に耐えられる強い固定源を確保できないときは、アンカースクリューが設置されます。
歯の全体的な後方移動のため
口ゴボの治療などで、歯を全体的に後退させるときはアンカースクリューが必要になります。
歯の全体的な後方移動を効率的にするには、反作用に影響されない強固な固定源が必要なためです。
また、今ある奥歯の位置よりもさらに後ろに歯を移動させるケースでも、アンカースクリューが必須。
たとえば口ゴボの治療では、親知らずを抜歯することでそこに空いたスペースを利用して、歯列全体を後ろに移動させ、口元の突出を改善します。
この際、固定源となるアンカースクリューをより口の奥に設置することで、もともとあった奥歯よりもさらに奥から前歯を引っ張ることができるというわけです。
歯の圧下のため
歯の圧下(歯茎方向に引っ込める動き)には、アンカースクリューが必要です。
これまでの 矯正では、歯を圧下させる動きは困難でした。しかしアンカースクリューならば歯を引っ込める上下の動きにも対応できます。
アンカースクリューは、歯を上下に動かせるという効果を発揮することで、口ゴボの改善とともにガミースマイルの改善も目指せるようになりました。

口ゴボを矯正治療する際にアンカースクリューを設置するメリットは、次の3点です。
外科手術の回避
ヘッドギア装着の負担削減
スムーズな矯正治療の進行
外科手術の回避
矯正にアンカースクリューを併用すること で外科手術を避けられるようになったことが、最大のメリットと言えるでしょう。
従来の矯正では、抜歯した小臼歯(犬歯の後ろの歯)のスペースに向かって、後方にある歯が前方に引っ張られてしまう反作用を防ぐ難しさがありました。
これでは効率的に歯列全体を後方移動できないため、手術が適用されていたのです。
しかしアンカースクリューが強固な固定源となることで反作用を防ぎ、口の奥からしっかりと歯列を後方移動させることが可能になりました。
そして今では口ゴボの多くの症例で手術の必要がなく、アンカースクリュー併用の矯正で治療可能です。
「口ゴボは治したいけど、手術するのは怖い」とこれまで口ゴボ治療に踏み出せなかった方には、希望の光とも言える治療方法ではないでしょうか。
ヘッドギア装着の負担削減
ヘッドギアは見た目の悪さもさることながら、1日8〜10時間以上装着する必要があるため、忙しい成人には不向きな治療方法で負担も大きいです。
就寝時の装着では「寝苦しくて、睡眠不足になった」「寝返り打つたびに起きてしまう」という人が多く、日常生活に影響が出てしまいヘッドギアを外してしまうケースも。
こうした負担を削減できるのは、アンカースクリューを使った口ゴボ矯正の大きなメリットですね。
アンカースクリューは設置して数日は違和感があるものの、普通に寝食ができるためヘッドギアのような負担を感じることはありません。
スムーズな矯正治療の進行
アンカースクリューを設置することで、口ゴボの矯正治療がスムーズに進行することもメリットの1つ。
奥歯を固定源とする通常の矯正では、奥歯と前歯がお互いを引っ張り合う「反作用」を起こしてしまい、効率的に矯正治療を進めるのが難しいです。
しかし、矯正治療にアンカースクリューを併用することで反作用を起こさずに、前歯をしっかり後退させることが可能になりました。
このように無駄のないスムーズな治療ができるため、矯正期間を短縮できます。
アンカースクリューの設置は、口ゴボの治療期間を短くしたい人におすすめです。

口ゴボの矯正治療においてアンカースクリューの使用は、さまざまな有益な効果をもたらしますが、次にあげるようなデメリットもあります。
アンカースクリューの脱落
感染リスクや歯根の脱落
外科手術と比べると治療期間が長い
アンカースクリューの脱落
アンカースクリューが脱落してしまうと再設置となり、歯茎への負担や追加料金が必要です。
アンカースクリューの脱落は頻繁に起こることではありませんが、日本矯正歯科学会編・使用実態調査報告書(平成22年3月9日付)を見ると、13.6%の確率でアンカースクリューの脱落があったと報告されています。
そしてアンカースクリューの脱落は、口腔内の衛生管理を怠ることで炎症から感染を起こしてしまうことが主な原因。
歯茎から出ているアンカースクリューのヘッド周りには食べかすや磨き残しの歯垢が溜まりやすいため、入念な歯磨きが大切です。
「細かいところまでブラシが届かない」という場合には、先が細く尖ったタフトブラシや、口腔洗浄液を上手に利用してくださいね。
また、感染からの脱落を防ぐためにも、不用意に指や舌でアンカースクリューに触れないように注意しましょう。
感染リスクや歯根の損傷
上記でも述べた通り、アンカースクリューの周りや口腔内の衛生管理をしっかり行わないと、炎症が起こり感染してしまうリスクがあります。
骨や歯茎に感染が起こると、設置したアンカースクリューがグラグラしてしまい、脱落してしまう危険性が高くなるので注意が必要です。
またアンカースクリューを設置するときは、歯根と歯根の間に埋入することが多いので、設置箇所やアンカースクリューの角度によって、稀に歯根を損傷させてしまうケースがあります。
ただし綿密な治療計画によって歯根損傷などのリスクは大幅に軽減することが可能です。
綿密な治療計画の立案があり、手厚いアフターフォロー体制が整っているクリニックを選ぶことが、治療を成功させるポイントといえるでしょう。
外科手術と比べると治療期間が長い
口ゴボを改善する外科手術「セットバック」は、手術入院も必要なく日帰りで施術を受けることも可能です。
一方のアンカースクリュー併用の矯正治療では、矯正方法にもよりますが部分矯正でも2ヶ月から1年程度、全体矯正となると1年から3年程度と治療期間が長くなります。
このように、歯科矯正は治療期間が長いため「口ゴボを今すぐ治したい」という人には向いていません。
しかし外科手術の場合、術後には腫れや内出血が2週間から1ヶ月程度あり、完全に落ち着くまで3ヶ月程度かかるケースも。(※術後の状態には個人差があります)
こうしたダウンタイム(術後の腫れなどが落ち着くまでの期間)の間は、学業や仕事に影響が出ることは想像に難くありません。
また手術には全身麻酔を使用することや、術後に後遺症が出ることもあるため、こうしたリスクも理解し納得した上で施術の是非を検討しましょう。