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最終更新日:2025年6月5日

開咬(オープンバイト)は矯正で治る?原因・リスク・治療法を徹底解説

開咬アイキャッチ

「前歯が噛み合わず、すき間が空いたまま閉じられない」、「麺類をうまく噛み切れない」、「滑舌が悪くなった」。

こんな悩みがある方は、「開咬(オープンバイト)」かもしれません。

開咬は、放置していると食事や発音に支障をきたすだけでなく、見た目のコンプレックスや歯への負担にもつながります。

この記事では、開咬の特徴や原因、放置するリスク、そして矯正による治療法までをわかりやすく解説します。

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歯科矯正ブログ編集チーム

木村真由美

Oh my teethでのマウスピース矯正を経て、2021年6月に株式会社Oh my teethにジョイン。マウスピース矯正経験者としてOh my teethのオウンドメディア「歯科矯正ブログ」にて記事を更新中。ミッションは「歯並びに悩むすべての方に歯科矯正の確かな情報をお届けすること」。

目次

「開咬(オープンバイト)」とは?

開咬

開咬(かいこう)、別名「オープンバイト」とは、奥歯は噛み合っていても前歯が閉じず、上下にすき間ができてしまう噛み合わせのことです。

食べ物を前歯で噛み切ることが難しく、麺類やサンドイッチなどが食べづらいと感じる方は、開咬の可能性があります。

開咬の場合、前歯の隙間から空気が漏れることで、発音が不明瞭になることもあります。

そして、見た目が似ているものに「出っ歯(上顎前突)」がありますが、両者は別の不正咬合です。

出っ歯は上の前歯が前方に突き出している状態で、上下の歯は一応接触しています。一方、開咬は上下の前歯がそもそも接触せず、隙間ができるのが特徴です。

開咬は矯正で治せる

開咬(オープンバイト)は、矯正治療によって改善することが可能です。

たとえ、「前歯で食べ物が噛み切れない」「口が閉じにくい」といった症状があっても、歯並びや噛み合わせを整えることで、しっかりと上下の前歯が噛み合うようになります。

治療法としては、マウスピース矯正やワイヤー矯正、外科手術が検討されます。

開咬は「見た目の問題」だけでなく、健康や生活の質にも直結するため、気になる症状があれば早めの相談が大切です。

20代後半女性「開咬」

開咬の原因は?代表的な4つの要因

昔よりも前歯が出てきたのはなぜ?原因や治す方法を解説

開咬は、日常の癖から骨格の遺伝、病気まで、さまざまな要因が複雑に関係して発生します。ここでは、代表的な原因について解説します。

①幼少期の癖(指しゃぶり・舌癖・口呼吸)

開咬の原因として特に多いのが、幼少期の癖や生活習慣に起因するケースです。

とくに、4歳を過ぎても続く指しゃぶりは、上の前歯を前に押し出す力がかかるため、前歯が噛み合わなくなる原因となります。

また、舌を上下の前歯の間に押し出す「舌癖(ぜつへき)」も、開咬を引き起こす要因のひとつです。舌が常に前方にあると、前歯に圧力がかかり続け、上下の歯が接触しにくくなってしまいます。

さらに、鼻炎やアレルギーなどが原因で口呼吸が習慣化すると、唇の筋肉がうまく使われなくなり、歯列のバランスが崩れてしまいます。その結果として、開咬を発症するケースも多いです。

②顎の骨格や遺伝の影響

開咬は、顎の骨格や家族からの遺伝によって生じることがあります。

たとえば、上下の顎の成長バランスが崩れていると、奥歯は噛み合っていても前歯にすき間ができ、開咬の状態になります。

また、両親や兄弟姉妹に開咬の症状が見られる場合は、骨格の特徴や歯の生え方が遺伝しているケースもあります。

こうした開咬は成長とともに目立つようになることも多く、大人になってから気づくケースも珍しくありません。

③親知らず・噛み合わせのズレ

開咬は、親知らずの影響や噛み合わせのズレが原因となって起こる場合もあります。

親知らずは、生えるスペースが十分に確保されていないと、隣の歯を押し出して歯列全体を乱してしまいます。

この力が前歯の位置にも影響を与え、噛み合わせにすき間が生じることがあるのです。

さらに、奥歯の噛み合わせのズレも徐々に歯列全体に影響を与え、次第に前歯が接触しなくなる原因になることもあります。

④顎関節症や舌疾患などによる影響

顎関節や舌に関わる疾患が、開咬の一因となるケースもあります。

顎関節症を発症すると、顎の動きが不安定になり、正しい噛み合わせを維持しにくくなります。

その結果として、上下の前歯が正常に噛み合わせるのが困難になるのです。

また、舌の形や大きさに異常がある「舌小帯異常」「巨舌症」などの舌疾患も、開咬の原因となることがあります。

たとえば舌が大きく前方に位置していると、無意識のうちに前歯を押す力がかかり、歯並びを押し広げてしまうことがあります。

開咬を放置することによって起こる5つのリスク

開咬放置のリスク

開咬は、適切に治療しないと、見た目の問題だけでなく、日常生活や健康面にもさまざまな悪影響を及ぼす可能性があります。

ここでは、開咬を放置することで生じる5つの主なリスクについて詳しく解説していきます。

①食事がしづらい(咀嚼・嚥下障害)

開咬になると、前歯で食べ物を噛み切ることが難しくなり、日常的な食事に支障をきたします

上下の前歯が接触していないため、麺類や野菜、肉などを前歯で噛み切る動作がうまくできません。その結果、奥歯ばかりに負担がかかるようになり、咀嚼の効率が下がってしまいます。

また、うまく咀嚼できないことで食べ物が大きいまま飲み込まれ、嚥下(飲み込み)の負担が増えるケースもあります。

このような状態が続くと、消化機能にも悪影響を及ぼすことがあり、栄養の吸収効率にも影響を与えます。

②滑舌が悪くなる

開咬は、発音が不明瞭になりやすいです。

上下の前歯が接触していないと、空気が正しく制御できず、発音時に息が漏れやすくなります。

とくに「さしすせそ」や「たちつてと」など、舌と前歯・歯ぐきとの接触が重要な音では、音が聞き取りにくくなることが多いです。

そして、このような滑舌の悪さは、人前で話すシーンでコンプレックスとなり、対人関係にも影響を及ぼす心配があります。

③見た目のコンプレックス

開咬は、歯並びや口元の印象に影響を与え、見た目のコンプレックスにつながることがあります。

開咬の方は、前歯が噛み合わずすき間が空いているため、正面から見たときに「前歯が出ているように見える」「口が閉じにくい」といった印象を与えることがあります。

とくに、笑ったときや話しているときに歯の隙間が目立ち、口元にコンプレックスを感じる人も少なくありません。

また、無意識に口元を隠すようになったり、笑顔を控えるようになったりすることで、表情が乏しく見える傾向もあります。

こうした心理的な影響は、日常生活の自信や人間関係にも影を落とす要因になりかねません。

④奥歯に負担がかかって食いしばりや歯ぎしりにつながる

開咬は噛み合わせのバランスが崩れているため、奥歯に過剰な負担がかかりやすくなります。

本来、前歯と奥歯はバランスよく機能することで、食事や会話をスムーズに行えます。

しかし開咬の場合、前歯が噛み合っていないため、噛む力が奥歯に集中しやすくなります。その結果、無意識のうちに食いしばりや歯ぎしりが起こるのです。

これらの癖が習慣化すると、奥歯の摩耗や破折、歯のぐらつき、詰め物の脱落といったトラブルが生じやすくなります。

さらに、顎の筋肉や関節にも負担がかかり、頭痛や肩こり、顎関節症などを引き起こす原因にもなり得ます。

⑤虫歯・歯周病につながる

開咬の状態が続くと、虫歯や歯周病のリスクが高まります。

噛み合わせが不自然なままだと、歯ブラシが届きにくい箇所ができやすくなります。

とくに、前歯や奥歯の一部に過度な力がかかっていたり、歯と歯の間に隙間ができていたりするため、歯垢が溜まりやすいです。

また、開咬では口が閉じにくくなり、唾液の分泌量が減少しやすい状態になります。

唾液は口内の自浄作用や抗菌作用を担っているため、唾液が不足すると細菌が増殖し、虫歯や歯周病の一因となります。

開咬の治療法|費用・治療期間の目安を比較

お金と電卓の画像

開咬を治療する方法は、主に歯列矯正と外科手術の2つです。症状の程度や原因に応じて、適した治療法が選ばれます。

歯列矯正には、マウスピース矯正とワイヤー矯正の2つの方法があり、骨格に問題がある重度の開咬では、矯正治療に外科手術を組み合わせて行うのが一般的です。

それぞれの治療法には、方法だけでなく、費用や治療期間にも違いがあります。ここでは、代表的な3つの治療法について詳しく解説します。

【軽度〜中度】マウスピース矯正|費用60〜100万円・期間1〜3年

前歯を中心とした軽度〜中等度の開咬には、透明なマウスピースを使った矯正治療が効果的です。

マウスピース矯正は、取り外し可能で目立ちにくいため、軽い開咬であればワイヤー矯正よりも快適に治療が進められるケースもあります。

費用は60〜100万円が目安で、治療期間は1〜3年程度が一般的です。

通院回数が少なくて済むほか、食事や歯磨きの際には取り外せるため、衛生面でも優れています。一方で、装着時間を守らないと効果が得られにくくなるため、自己管理が重要です。

【中度〜重度】ワイヤー矯正|費用60〜150万円・期間2〜3年

歯並び全体にわたる中度〜重度の開咬には、ワイヤー矯正が適しています

ワイヤー矯正は、歯にブラケットを取り付け、ワイヤーで引っ張りながら少しずつ歯を理想的な位置へと動かしていく治療法です。歯の移動量が大きい症例や、奥歯の噛み合わせまでしっかり整える必要があるケースでは、マウスピース矯正よりも確実性が高いとされています。

費用の目安は80〜150万円、治療期間は2〜3年程度です。

目立ちやすいというデメリットはありますが、幅広い症例に対応できるのが大きな利点です。

また、医師の管理下で調整を受けながら進めていくため、自己管理に自信がない方にも向いています。

【重度のケース】外科手術+矯正|費用100万円以上・期間2〜4年

骨格に問題がある重度の開咬では、外科手術と矯正を組み合わせた治療が必要になります。

上下の顎の骨格に大きなズレがある場合、歯列矯正だけでは噛み合わせの改善が難しいため、外科手術で顎の位置を調整し、その後にワイヤー矯正などで歯並びを整える方法が取られます。

費用の目安は100万円以上、治療期間は2〜4年程度、場合によってはそれ以上かかることもしばしばです。

外科的処置が必要になる分、身体への負担やダウンタイムもありますが、根本的に噛み合わせを改善できるため、機能面・審美面の両方で大きなメリットがあります。

舌癖の改善|原因を断つことも治療の一部

子供連れで歯医者に来た女性

開咬の治療を成功させるためには、「舌癖(ぜつへき)」の改善も欠かせません。

舌癖とは、飲み込む際に舌を前に突き出したり、常に舌が歯を押すような位置にある癖のことを指します。

こうした癖があると、せっかく矯正で歯並びを整えても、舌の力で再び前歯が押し出され、開咬が再発してしまうことがあります。

そのため、舌癖が見られる場合には、歯列矯正とあわせて「MFT(口腔筋機能療法)」と呼ばれるトレーニングを行い、舌の位置や動きを正しく矯正していくことが重要です。

開咬を根本から改善し、再発を防ぐには、こうした生活習慣や筋機能へのアプローチが不可欠です。

開咬についてよくある質問|Q&A

Q&A

開咬の治療を検討するにあたって、不安や分からないことを事前に解消しておくことは非常に大切です。

ここでは、開咬に悩む患者さんからとくに質問の多い内容をQ&A形式で解説していきます。

自分が開咬かどうか見分ける方法はありますか?

鏡の前で上下の歯を軽く噛み合わせたとき、前歯が接触せずにすき間が空いていれば、開咬の可能性があります。

通常、上下の前歯はしっかりと噛み合うことで、食べ物を噛み切ったり発音を助けたりする役割を果たします。

しかし、開咬ではこの前歯の接触がなく、口を閉じても前歯にすき間ができてしまうのが特徴です。

見た目以外にも、「麺類を噛み切りにくい(例:ラーメンを食べるときは、前歯の裏に麺を押し当てて舌で切って食べている)」「滑舌が悪くなった」「口が閉じにくい」などの症状があれば、開咬のサインかもしれません。

自己判断が難しい場合は、歯科医の診察を受けて確認することをおすすめします。

Oh my teethでは、無料相談サービスを提供しています。開咬の可能性や治療の適応について気軽にチェックできるので、気になる方はぜひご活用ください。

開咬の治療は保険適用になりますか?

基本的に、開咬の矯正治療は自由診療ですが、特定の条件を満たす場合には保険が適用されることもあります

歯科矯正治療では次にあげる条件にあてはまる場合、保険適用になるとされています。

①「別に厚生労働大臣が定める疾患」に起因した咬合異常に対する矯正歯科治療

②前歯及び小臼歯の永久歯のうち3歯以上の萌出不全に起因した咬合異常(埋伏歯開窓術を必要とするものに限る)に対する矯正歯科治療

③顎変形症(顎離断等の手術を必要とするものに限る)の手術前・後の矯正歯科治療

引用元: 公益社団法人 日本矯正歯科学会

たとえば、「顎変形症」と診断され、外科的な手術を伴う矯正治療が必要と判断されたケースでは、健康保険が適用されるケースが多いです。

また、このような治療は、厚生労働省が指定する施設でのみ受けられます。

一方で、日常生活に支障があるものの、見た目の改善や発音の改善を目的とした矯正のみでは、保険適用の対象外となるのが一般的です。

保険適用になるかどうかは、症状の程度や医師の診断、通院先の医療機関の体制によって異なります。

まずは専門の歯科医師に相談し、自分のケースで保険が使える可能性があるか確認することをおすすめします。

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開咬を自分で治すことはできますか?

開咬を自力で治すことはできません

一度前歯の噛み合わせにすき間ができてしまった状態は、放置して自然に治ることはなく、専門的な治療が必要です。

舌癖や口呼吸などの習慣を見直すことは大切ですが、それだけで歯並びや噛み合わせが元に戻ることはありません。

自己流のマッサージや体操で対処しようとはせず、早めに歯科医院で診断を受け、適切な治療を受けることが大切です。

開咬を治療すると顔はどのように変化しますか?

開咬を治療すると、噛み合わせだけでなく顔つき全体にも変化が現れます。

開咬の方は、上下の前歯が噛み合わないことによって口元が前に出たり、顎が下方に伸びて見える「面長」の印象を与えることが多いです。

しかし、矯正治療によって噛み合わせが正常化されると、こうした顔貌のアンバランスが改善され、フェイスラインがすっきりと整います。

また、「Eライン」のバランスも向上します。Eラインとは、鼻先と顎先を結んだラインのことで、唇がこの線の少し内側にあるのが理想とされています。

開咬によって前に出がちだった口元も、矯正治療によって自然な位置へと収まり、見た目のコンプレックス解消にもつながるでしょう。

子供が指しゃぶりをしていますが、放っておいても大丈夫でしょうか?

3歳頃までは問題ありませんが、それ以降も続くようであれば注意が必要です。

指しゃぶりは乳幼児にとって自然な行動で、2〜3歳頃までは大きく心配する必要はありません。

しかし、4歳を過ぎても習慣的に指をしゃぶっていると、前歯が押し出されて上下の噛み合わせにすき間ができるリスクがあります。

ただし、無理にやめさせることで子供にストレスがかかることもあるため、年齢や性格に合わせて少しずつ卒業を促すことが大切です。

気になる場合は小児歯科で相談し、やめさせ方の工夫や歯並びへの影響について専門的なアドバイスを受けるようにしましょう。

子供の開咬はどのような治療をしますか?

子供の開咬は、成長段階に応じて「習慣の改善」や「成長を利用した早期治療」が中心となります。

まず重要なのは、開咬の原因となる舌癖(指しゃぶり、口呼吸、舌を前に出す癖など)を早期に見つけてやめさせることです。

そのうえで、成長期にある子どもは「顎の発達を利用した治療」を行います。

必要に応じて、筋機能訓練(MFT)や取り外し式の矯正装置(例:プレオルソなど)を用い、口周りの筋力や機能を向上させます。

重症の場合や歯の位置の改善が必要な場合には、永久歯が生え揃ってから本格的な矯正治療(ワイヤー矯正やマウスピース矯正)に移行することも多いです。

口が常に開いている、食べこぼしが多い、発音がはっきりしないなどの症状が見られる場合は、早めに小児矯正に対応している歯科医院で診断を受けることをおすすめします。

子供が開咬にならない予防策はありますか?

開咬は、日常の癖や生活習慣が大きく関わるため、早い段階からの予防が大切です。

まず取り組みたいのが、指しゃぶりや舌を突き出す癖(舌癖)、口呼吸など、開咬の原因となる習慣をできるだけ早く改善することです。

また、常に口が開いている「口唇閉鎖不全」や、柔らかいものばかり食べるといった偏った食習慣にも注意が必要です。

口のまわりの筋肉をしっかり使うことが、顎や歯並びの健やかな成長を助けます。

日頃のちょっとした心がけが、将来的な開咬のリスクを大きく下げることにつながります。

気になる癖がある場合は、早めに歯科医院へ相談してみましょう。

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