インビザラインは痛い?8つの原因と痛いときの対処法も解説

「インビザラインは痛いって聞いたけど、どれくらい痛いの?」
「痛くなったらどうしたらいいの?」
インビザラインの痛みについて不安を感じている方も多いのでは。
インビザラインは、ワイヤー矯正より痛みが少ないとされていますが、人によっては痛みが辛いと感じることも。
しかし、できることなら痛みを抑えながら矯正したいですよね。
そこで本記事では、玉川学園駅前ファミリー歯科 の岩田 翔太先生監修のもと、 インビザラインで痛みが出る仕組みから、実際に矯正した場合に痛みを感じやすい場面を解説。
痛いときの対処法もまとめているので、ぜひ役立ててください。
目次
- インビザラインはどのくらい痛い?
- インビ ザラインで痛みが出る理由
- ワイヤー矯正よりも痛みは少ないといわれるのはなぜ?
- 「インビザラインが痛い」と感じやすい8つの場面
- 1.新しいマウスピースに交換したとき
- 2.硬いものを噛んだとき
- 3.マウスピースを着脱するとき
- 4.矯正用のゴムかけをはじめたとき
- 5.マウスピースの縁やアタッチメントが口内に当たると き
- 6.IPR(歯を削る処置)の後
- 7.歯肉退縮による知覚過敏が起こっているとき
- 8.虫歯・歯周病・歯肉炎があるとき
- インビザラインが痛いときの対処法
- 痛み止めを服用する
- やわらかいものを食べる
- 矯正用ワックスを使用する
- 歯科クリニッ クに相談する
- インビザラインの痛みに関するFAQ
- インビザラインの痛みのピークはいつまで続く?
- インビザラインの痛みを防ぐ方法はある?
- インビザラインを装着しても痛くないけど大丈夫?
- インビザラインが痛いのは歯が動いている証拠

インビザラインの痛みは、多くの場合「新しいマウスピースに交換した直後」に感じやすく、その程度や続く期間は人によって異なります。
一般的には、歯が動き始める数日間に軽い圧迫感や噛みにくさを覚えることが多く、時間の経過とともに和らぎます。
ここでは、痛みが起こるメカニズムやワイヤー矯正との痛みの違いについて詳しく見ていきましょう。
インビザラインで痛みが出る理由
インビザラインで痛みがともなうのは、歯が動いているからです。
インビザラインは、マウスピースにより歯を少しずつ移動させます。このとき、歯根や歯周組織にかかる圧力が神経を刺激し、ギュッと締め付けられるような圧迫感や痛みが生じます。

特にマウスピース矯正をはじめて間もない頃や、マウスピース交換してすぐの頃は、2〜3日間強い痛みを感じやすいです。多くの場合、痛みは一時的で時間とともに軽減しますが、強い痛みが続く場合は、歯科クリニックに相談しましょう。
ワイヤー矯正よりも痛みは少ないといわれるのはなぜ?
装置の構造と力のかけ方が異なるためです。
ワイヤー矯正はマウスピース矯正に比べて、一度に歯を動かす幅が大きい ため、痛みを強く感じやすいです。装置に凹凸があるため、口内の粘膜がこすれて痛みにつながることもあります。
一方で、インビザラインは定期的にマウスピースを交換し、少しずつ歯を動かします。そのため、歯や周囲の組織への負担を抑えられ、比較的痛みは少ないです。
さらにマウスピースは、表面がなめらかなので、口内が傷つきにくくなっています。
ただし、痛みの感じ方には個人差がつきものです。どちらの方法でも、歯が動く際の圧迫感や違和感が出る可能性は十分に考えられます。

インビザラインが痛いと感じる場面として、以下の8つのケースが考えられます。
新しいマウスピースに交換したとき
硬いものを噛んだとき
マウスピースを着脱するとき
矯正用のゴムかけをはじめたとき
マウスピースの縁が口内を傷つけているとき
IPR(歯を削る処置)の後
歯肉退縮による知覚過敏が起こっているとき
虫歯・歯周病・歯肉炎があるとき
1.新しいマウスピースに交換したとき
マウスピースを交換した直後は、歯を動かしはじめる段階なので、痛みが出ることがあります。
これは歯を動かそうと、新たなマウスピースが圧力を加えているためです。圧力が加わると歯根膜が敏感になり、歯が圧迫されるのです。
また、マウスピース矯正は食事の際などは取り外しますが、その間歯が元の位置に戻ろうとします。その状態で新しいマウスピースを装着すると、歯の移動距離が大きくなり、痛みを感じやすい場合もあります。
すでにお伝えしたように、痛みのピークはマウスピースを変えてから1〜2日といわれています。徐々に歯が移動し、マウスピースもなじむため、3~7日ほどで痛みは引いていくでしょう。
2.硬いものを噛んだとき
硬いものや噛みごたえがあるものを食べると、痛いと感じることがあります。
矯正中の歯は、圧力がかかり続けているので、刺激に敏感な状態です。
噛んだ時に上下の歯がぶつかって、歯に刺激が加わると、痛みにつながります。例えば、歯ごたえのある肉やせんべいは、強く噛み砕いたり、何度も咀嚼したりするため、歯に負担がかかりやすいです。
装着中はマウスピースが衝撃を緩和するので、痛みがなくても、食事中はマウスピースを外すので痛いと感じることがあるかもしれません。
3.マウスピースを着脱するとき

アタッチメントを装着している方は、マウスピースの着脱時に痛みを感じやすいです。
アタッチメントとは、矯正を効率的に進めるために歯に取り付ける白い突起物のこと。
マウスピースが歯にしっかり密着するようにつけるため、着脱時にきつくなると同時に、歯に負担をかけてしまい、痛みが強くなることがあります。
アタッチメントが痛みの原因の場合、痛いのは着脱する瞬間が多いでしょう。マウスピースを一気に外そうとすると、アタッチメントが引っかかりやすく、痛みが出やすいです。
アライナーリムーバー(着脱用スプーン)を使い、奥歯の内側から片方ずつ外して、最後に前歯を外すようにしてくださいね。

4.矯正用のゴムかけをはじめたとき
マウスピースの装着だけでなく、ゴムかけも始まると痛みが出やすくなります。
ゴムかけは上下の歯に歯科用の小さなゴムをかけて、引っ張る力を強める処置です。
歯にかかる負担が大きくなり、強い痛みを感じることがあります。
ただ、ゴムかけの痛みも新しいマウスピースをつけたときのように、歯が動くことが大きな原因です。ゴムをつけた2〜3日後が痛みのピークで、徐々に痛みは落ち着くでしょう。
5.マウスピースの縁やアタッチメントが口内に当たるとき
マウスピースに不具合があると、口の粘膜が傷ついて痛いことが多いです。
マウスピースはまれに研磨不足が起こり、尖った部分が口内を傷つけます 。
口の中をチェックして、頬の内側や歯茎に傷や出血がある場合は、マウスピースの研磨不足を疑いましょう。
口内炎になると、痛みが長引くので、早めの対処を心がけてください。
対処法は尖った部分を削ることですが、自身の判断で行うと、マウスピースの形状が変わってしまうことも。近くの歯科クリニックや、担当の歯科医師に調整してもらうことをおすすめします。
6.IPR(歯を削る処置)の後
IPRを行った後、痛みが出る場合があります。
IPRとは、歯を動かすスペースを作るために歯と歯の間を削る処置。マウスピース矯正を行うほとんどの場合、IPRは必要な処置です。
通常、IPRでは歯の表面のエナメル質と呼ばれる層を一層磨きます。エナメル質は痛みを感じる神経が通っていないため、通常は痛みを感じることはありません。
しかし、エナメル質が薄い場合は、IPR後に知覚過敏のような痛みを起こすことがあります。痛みが強い場合は、知覚過敏に対する処置が必要になるので、歯科医師に相談しましょう。
IPRの必要性やリスクについては、以下の記事で詳しく解説しています。
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7.歯肉退縮による知覚過敏が起こっているとき
矯正治療は、歯肉退縮を起こしやすいといわれています。その理由は、インビザラインで歯を動かす際に歯周組織から歯がはみ出る場合があるからです。
歯肉退縮(しにくたいしゅく)とは、歯の周りの歯茎が減り、歯根が露出した状態のことです。
歯は、歯茎や歯を支える歯槽骨によって周りを囲まれています。
矯正治療では歯槽骨に負荷をかけ、骨の吸収と再生を利用して歯を動かします。ごくまれにですが、この際に歯周組織から歯がはみ出て、知覚過敏が起こるのです。
特に、下の前歯は歯茎や歯槽骨が薄く、歯肉退縮を起こしやすい部位といわれています。
治療では、歯周組織の範囲内で徐々に歯が動くよう計画を立てますが、歯の動きやすさなどには個人差があるため歯肉退縮を起こす場合があるのです。
8.虫歯・歯周病・歯肉炎があるとき
インビザライン治療中に虫歯、歯周病、歯肉炎になってしまった場合や、矯正開始前からこれらの症状がある場合は痛みが出ます。
インビザライン治療開始前には必ず虫歯などがないかチェックし、ある場合は完治してからインビザラインを始めましょう 。
また、インビザライン治療中に虫歯などになってしまった場合は、程度によってインビザラインを中断するかしないかが決まります。
矯正期間を延ばさないためにも、違和感があったらすぐに歯科医師に報告して、ひどくならないうちに治療しましょう。

インビザラインが痛いときの対処法は、以下の4つです。
痛み止めを服用する
やわらかいものを食べる
矯正用ワックスを使用する
歯科クリニックに相談する
痛み止めを服用する
我慢できない痛みがある場合は、痛み止めの服用を検討しましょう。
痛みで日常生活に支障をきたすと、精神的な負担も大きくなり、矯正を続けにくくなります。
薬を上手に活用して、痛みと付き合うことも大切です。
ただし、痛み止めの日常的な服用はやめましょう。胃腸に負担がかかるだけでなく、薬の種類によっては、歯の動きを抑制してしまうこともあります。
用法用量は守り、あくまで一時的な手段として利用してくださいね。
やわらかいものを食べる
噛むときに痛みがある場合は、やわらかいものを食べるのがおすすめです。
噛みごたえは、歯の根元にある歯根膜で感じています。矯正中は歯だけでなく、歯根膜も刺激に弱くなっているため、噛んだ衝撃を抑えると、痛みを軽減できます。
たとえば、以下のような食べ物がおすすめです。指でつぶせる程度のやわらかさだと、歯への負担を軽減できます。
おかゆ・リゾット
ヨーグルト・ゼリー
煮込みうどん
豆腐
なお、歯ごたえがあるものを食べたいときは、小さくカットしてから口に入れましょう。
痛みがあるときの食事のヒントは、以下の記事で詳しくまとめています。
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矯正用ワックスを使用する
マウスピースの縁やアタッチメントによる口内の刺激をやわらげるために使われるのが、矯正用ワックスです。
柔らかく粘着性のある医療用素材でできており、指で適量をちぎって丸め、気になる部分に直接貼り付けて使います。これにより、頬や唇、舌がこすれて傷ができるのを防ぎ、痛みを軽減できます。
矯正用ワックスは歯科クリニックやECサイトで入手可能。使用後はワックスをつけた箇所の周りは丁寧に磨き、口腔内を清潔に保つことが大切です。
歯科クリニックに相談する
痛みがある場合は、基本的には歯科クリニックに相談しましょう。
痛みの原因が明確になり、適切な処置につなげられます。具体的には、以下のような対応が可能です。
1つ前のマウスピースをつける
マウスピースを適切に調整する
アタッチメントを調整する
アタッチメントの凹凸を矯正用ワックスで覆う
虫歯や歯周病、知覚過敏の治療を優先する
痛み止めの処方
特に虫歯や歯周病、知覚過敏の治療の優先は大前提事項です。
自覚症状がある場合は、歯科医師の指示を仰ぎながら、コーティング剤の塗布や知覚過敏用歯磨き粉などの処置をしましょう。

インビザライン治療中に感じる痛みについては、よくある疑問がいくつかあります。
ここでは、痛みのピークや予防方法、痛みがない場合の対応など、患者さんから寄せられる質問にお答えします。
インビザラインの痛みのピークはいつまで続く?
新しいマウスピースに交換してから1〜3日間が痛みのピークです。
この期間は歯にかかる圧力が強く、噛んだときや外したときに違和感を感じやすくなります。多くの場合、4日目以降は徐々に慣れ、日常生活に支障のない程度まで軽減します。
我慢できないほどの強い痛みが続く場合は、無理せず歯科クリニックへ相談しましょう。
インビザラインの痛みを防ぐ方法はある?
完全に痛みをなくすことはできませんが、予防的なケアで軽減は可能です。
まず重要なのは、マウスピースの装着時間を1日20〜22時間守ることです。装着時間が足りないと歯の動きが鈍くなり、新たなマウスピースに交換した際に痛みが強くなる可能性が高まります。
「チューイー」と呼ばれるシリコン製の補助具を噛み、マウスピースを歯にしっかり密着させるのも効果的です。
また、丁寧な歯磨きとマウスピースのお手入れは必須です。歯とマウスピースの間は汚れが溜まりやすく、放置すると虫歯や歯周病の原因になり、痛みや腫れを引き起こすことがあります。
歯ブラシだけでなく、デンタルフロスや歯間ブラシを併用しましょう。マウスピースも毎日洗浄してください。やわらかい歯ブラシで軽くこすり、1日に1回は専用洗浄剤で除菌すると清潔さを保てます。
インビザラインで矯正中の歯磨きやチューイーの使い方については、以下の記事も要チェックです。
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インビザラインを装着しても痛くないけど大丈夫?
痛みがないこと自体は問題ありません。痛みは歯の 動きに伴う一時的な反応であり、必ずしも感じる必要はありません。
マウスピースが歯に正しくフィットしており、歯科医師の指示通りに装着時間や交換スケジュールを進めていればOKです。痛みがなくても治療は進行していると考えられます。

インビザラインの痛みの原因は、歯が動いていることによる場合がほとんどです。
食事を工夫したり、痛み止めを適度に服用したりして、痛みと上手く向き合いましょう。
ただし、つらいときは無理せず歯科クリニックに相談してくださいね。
痛みの原因が明確になり、適切な処置につなげられます。場合によっては治療を中断することもあるので留意しておきましょう。
Oh my teethでは独自プランだけでなく、インビザラインのどちらも取り扱いがあります。

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