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マウスピース矯正
最終更新日:2026年10月28日

マウスピースの種類と効果|歯ぎしり用の費用・保険・デメリット

マウスピース本当に効果あるの?
夜間の歯ぎしり対策や歯科矯正用など、用途に応じてマウスピースを活用する人が増えています。
とはいえ、「こんなプラスチックのような装置で本当に効果があるの?」と疑問に感じる方もいるかもしれません。
実際、適切に使わないと症状が緩和されないどころか、違和感や不調につながることもあるため注意が必要です。

この記事では、5種類のマウスピースの違いや期待される効果、費用と保険、使用時の注意点についてわかりやすく解説します。自分に合ったマウスピースを見極めるヒントとして、ぜひ参考にしてみてください。
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歯科医師

西尾万樹

東京表参道矯正歯科 院長。北海道医療大学歯学部卒業。2018年歯科医師免許取得。旭川医科大学病院口腔外科にて研修後、矯正歯科勤務。2020年コスメコンシェルジュ取得。
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マウスピースの種類は5つ|目的・つける時間・形の違い

マウスピースは、目的によって形も厚さも、つける時間も違います。歯科医院で扱う主なマウスピースは、次の5種類です。
種類
主な目的
つける時間
形の特徴
歯ぎしり用ナイトガード
歯ぎしりから歯とあごを守る
寝ている間
片方のあごにつける・厚さ1~2mm
矯正用マウスピース
歯を少しずつ動かす
1日20時間以上
透明で約0.5mmと薄い
スポーツ用マウスガード
競技中のけがを防ぐ
競技中
最も厚い
いびき用マウスピース
睡眠時無呼吸症候群の治療
寝ている間
上下一体で下あごを前に出す
リテーナー
矯正後の後戻りを防ぐ
歯科医師の指示どおり
取り外し式と固定式がある
※厚さは目安で、素材や作り方によって変わります。
ナイトガードは、寝ている間の歯ぎしりや食いしばりから歯を守るマウスピースです。強い力を受け止めるため、矯正用より厚く作られています。
歯科矯正用のマウスピースは、1日20時間以上つけるため、薄く目立ちにくい作りです。
スポーツ用マウスピースは接触があるスポーツで歯を守ったり、食いしばることで力を込めたりといった効果があります。
いびき用のマウスピースは、下あごを前に出した位置で固定し、寝ている間に空気の通り道が狭くなるのを防ぐ装置です。医科で睡眠検査を受けて睡眠時無呼吸症候群と診断され、医師から依頼を受けた歯科医院で作るのが一般的な流れです(出典:日本補綴歯科学会誌16巻1号、2024年)。
リテーナーは、矯正で動かした歯が元の位置に戻らないように固定する装置です。取り外しできるマウスピース型と、歯の裏側に固定するワイヤー型があります。種類や使う期間は、「【いつまで?】矯正後のリテーナーは一生必要?装着期間・種類・外すタイミングを解説」をご覧ください。

歯ぎしり用マウスピース(ナイトガード)の3つの効果

歯ぎしり用のマウスピースは「ナイトガード」と呼ばれ、その名の通り、夜間寝ている間に装着し歯を守ります。
歯ぎしりは歯やあごの痛みにつながったり、歯が割れてしまったりなどさまざまな悪影響を及ぼすので、歯を保護するためにもマウスピースが有効です。
歯ぎしり用マウスピースには3つの効果があります。

①歯のすり減りを防止する

歯ぎしりでギリギリと横にスライドする動きをすると歯がすり減ります。歯がすり減ると歯が短くなり、知覚過敏が起きやすかったり噛み合わせが変わったりする原因に。
マウスピースをつけると歯ではなくマウスピースが削れて歯を守ります。使い続けるとマウスピースに穴があくことも。
穴があいたところは歯が強く当たっているところなので、マウスピースの高さを調整したり、その歯を削って噛み合わせを調整することもあります。

②歯やあごにかかる負担を分散させる

寝ている間、無意識に行っている歯ぎしりや食いしばりの力は相当なものです。食いしばりを続けていると歯にヒビが入ったり、歯根が割れて抜歯になるケースも。
マウスピースをつけると特定の歯だけに力がかかるのを防ぎ、歯全体で力を受けられます。また、被せ物が欠けたり詰め物がとれるのを防止したり、顎関節症の予防や軽減の効果も期待できます。

③歯の位置を固定する

歯周病などで揺れている歯は、歯ぎしりによって位置がズレる可能性があります。マウスピースをつけると歯が固定されるため、位置がズレて噛み合わせが変わるのを防ぐ効果があります。
ただし、マウスピースは歯ぎしりそのものを止める装置ではありません。日本補綴歯科学会のガイドラインでは、マウスピースで歯ぎしりの回数が減る傾向はあるものの、ほかの装置と比べてはっきり減るとはいえず、長く使ったときの効果を示す研究もまだ足りないと整理されています。一方で、歯を守る効果ははっきりしているとしています(出典:日本補綴歯科学会「ブラキシズムの診療ガイドライン」2021年)。
マウスピースは、あくまでも歯やあごの負担を減らすことを目的として使用します。

マウスピースが必要か迷ったときのサイン

日本補綴歯科学会の指針では、睡眠中の歯ぎしりを見分ける目安として、次のような症状が挙げられています。当てはまるものがあれば、歯科医院で相談してみましょう。
  • 寝ているときの歯ぎしりの音を指摘される
  • 歯の先が平らにすり減っている
  • 朝起きたとき、あごの筋肉が痛い・疲れている
  • 朝起きたとき、こめかみのあたりが痛い
  • 朝、口を開けにくいことがある
一般の人を対象にした調査では、頻繁に睡眠中の歯ぎしりがある人は約13%(12.8%±3.1%)と報告されています(出典:日本補綴歯科学会「ブラキシズムの診療ガイドライン」2021年)。

ソフトタイプとハードタイプの違い

歯ぎしり用マウスピースはシリコンで作る「ソフトタイプ」とレジンで作る「ハードタイプ」の2種類があります。
ソフトタイプは、柔らかいマウスピースでつけたときの違和感が少ないのが特徴です。
しかし、「耐久性がなく穴があきやすい」「食いしばりの力が強くなる恐れがある」「虫歯になりやすい」という理由から、ソフトタイプは取り扱っていないドクターも多いです。
ハードタイプは硬い分耐久性もよいですが、装着時の違和感が強く、噛み合わせなどの調整が難しいデメリットがあります。
歯ぎしりから歯を守る目的に対してソフトタイプよりメリットが多いことから、ハードタイプをおすすめしているドクターも多いです。
項目
ソフトタイプ
ハードタイプ
素材
シリコン
レジン
つけ心地
違和感が少ない
違和感が強め
耐久性
穴があきやすい
耐久性がよい
注意点
食いしばりが強くなるおそれ
噛み合わせの調整が難しい
成人の歯ぎしりには、硬い素材で作るスタビライゼーションスプリント(ハードタイプのマウスピース)が広く使われています。柔らかい素材のものは、主に子どもの歯科で使われることがあります(出典:日本補綴歯科学会「ブラキシズムの診療ガイドライン」2021年)。

歯科で作るマウスピースの費用と保険

マウスピースの費用は、何のために作るかで変わります。歯ぎしりの治療として作る歯ぎしり用と、睡眠時無呼吸症候群と診断されて作るいびき用は健康保険の対象で、スポーツ用と矯正用は原則として保険が使えない自費の扱いです。

歯ぎしり用は健康保険で作れる

歯ぎしりの治療として歯科医院で作るマウスピースは、保険の点数表で「口腔内装置」と呼ばれ、作り方によって点数が決まっています。装置そのものの費用は次のとおりです。
区分
作り方
点数
3割負担の装置代
口腔内装置1
入れ歯と同じ硬いレジンで作る
1,500点
4,500円
口腔内装置2
シートを型に合わせて成形し噛み合わせをつける
800点
2,400円
1点は10円で、表の金額は3割負担の場合の装置代です。実際には初診料や型取り、装着後の調整などの費用が加わるため、支払いの合計は歯科医院や通院の回数によって変わります(出典:厚生労働省「令和8年度診療報酬改定」の歯科点数表)。
どの区分で作るかは、歯ぎしりの状態を診て歯科医師が決めます。日本補綴歯科学会「顎関節症・歯ぎしりに対する口腔内装置(スプリント)の指針」によると、歯ぎしり用に当てはまるのは、噛み合わせをつけて作る口腔内装置1か2です。

いびき用は医科の診断が前提、スポーツ用と矯正用は自費

いびき用のマウスピースは、医科で睡眠時無呼吸症候群と診断され、医師から依頼を受けた歯科医院で作る流れが一般的で、公的医療保険が使えます。保険の点数表では、歯ぎしり用とは別に「睡眠時無呼吸症候群に対する口腔内装置」として決められています(出典:日本補綴歯科学会誌16巻1号、2024年、厚生労働省「令和8年度診療報酬改定」の歯科点数表)。
スポーツ用のマウスガードと、歯並びを整える矯正用のマウスピースは、原則として保険の対象外です。費用は歯科医院ごとに決められているため、作る前に見積もりを確認しましょう。

市販のマウスピースとの違い

ドラッグストアや通販では、お湯で柔らかくして自分で形を合わせる市販のマウスピースも売られています。手軽に試せる反面、歯科医院で作るものとの違いは次の3つです。
  • 歯型をとらず、自分で形を合わせる
  • 噛み合わせを歯科医師に調整してもらえない
  • 使い始めたあとの点検を受けられない
日本補綴歯科学会「顎関節症・歯ぎしりに対する口腔内装置(スプリント)の指針」によると、歯ぎしり用のマウスピースは型取りをして噛み合わせを調整し、使い始めてからも定期的に点検することになっています。歯ぎしりの症状があるときは、市販品で済ませず歯科医院で相談しましょう。

歯科矯正用マウスピースは薄く目立ちにくい

マウスピース矯正は、1~2週間ごとにマウスピースを交換し少しずつ歯を動かしていきます。
1日20時間以上の装着が必要なので、違和感が出にくいよう0.5mmほどの薄い素材でできています。またマウスピースは透明なので、装着していても目立ちにくいです。
ワイヤー矯正に比べて適応する歯並びの種類は少ないですが、出っ歯やガタガタな歯並びを矯正することができます。
以下に症例を紹介します。
  • 症例:出っ歯+ガタつき
  • 治療期間:6ヶ月
  • 治療総額:33万円(税込)
  • 非抜歯/部分矯正/研磨処置込み
※保険適用外の自由診療です。
※効果や感じ方には個人差があります。
※マウスピース矯正(Oh my teeth含む)の主なリスク:虫歯・歯周病・ブラックトライアングル・歯根吸収・歯肉退縮・1日20時間以上のマウスピース装着が必要・マウスピースにより痛みを感じる可能性・治療中に一時的にかみ合わせに不具合をきたす可能性・治療終了後3ヶ月は1日20時間以上リテーナー(保定装置)を装着、その後も就寝時の装着を推奨。
この症例では、週に1度マウスピースを交換しながら、少しずつ歯を動かしました。痛みの感じ方には個人差があり、マウスピースを交換した直後は締めつけを感じることがあります。
以下からぜひ気軽に相談してみてくださいね。
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スポーツ用マウスピースは防具として

スポーツ用マウスピースは接触が伴う競技などで、歯や顎を守るために用いられます。そのため、今回紹介したマウスピースの中でも最も分厚い作りとなることが多いです。
歯科で歯型をとって作るマウスガードは、違和感が少なく、競技やポジションに合わせた形にできます(出典: 岡山大学病院 スポーツ歯科外来)。
市販品には、そのまま口に入れる既製品と、お湯で柔らかくして自分で形を合わせるものがあります。自分で形を合わせるタイプは上手に作るのが難しく、合わないと外れやすさや話しにくさにつながることがあります。
競技によっては、使用できるマウスピースの形状や色に指定がある場合があるので、そちらも確認してから使い始めましょう。

マウスピース使用のデメリット4つと対処法

とはいえ、マウスピースも万能ではありません。以下の注意点をきちんと把握した上で使用を開始しましょう。

①慣れるまで時間がかかる

異物を口に入れたまま寝ることになるので、慣れるまでに時間がかかります。特に最初の2~3日は、眠りにくさを感じやすい時期です。
あごの痛みや口の渇きを感じることもありますが、慣れてくると和らいでいきます。
痛みや違和感が強いときや、あごの痛みが続くときは、自分で削ったりせず、使うのをやめて歯科医師に相談しましょう(出典:日本補綴歯科学会「顎関節症・歯ぎしりに対する口腔内装置(スプリント)の指針」)。

②費用がかかる

保険で作れますが、型取りや調整のために何度か通院が必要です。穴があいたり割れたりすると作り直しになるため、費用の扱いは受診先で確認しましょう。費用の目安は「歯科で作るマウスピースの費用と保険」を参考にしてください。
耐久性はソフトタイプもハードタイプも1年が目安ですが、半年で穴があく方もいれば2~3年もつ方もいます。

③メンテナンスが必要

使用後は洗浄し、清潔に保つ手間がかかります。汚れを閉じ込めないよう、つける前に歯磨きをしておくことも大切です。
また、噛み合わせやあごに異常がないか、マウスピースが変形・破損していないか、定期的に歯科医院でチェックしてもらいましょう。

④使い方によっては逆効果になることがある

合わないまま使い続けると、かえって歯やあごの負担になることがあります。日本補綴歯科学会のガイドラインには、3年以上使い続けて前歯がかみ合わなくなった例や、噛み合わせの当たり方が変わった例が紹介されています(出典:日本補綴歯科学会「ブラキシズムの診療ガイドライン」2021年)。
変化が起きない場合もありますが、違和感があるまま使い続けず、歯科医師に指示された間隔で点検を受けましょう。昼間もつけるかどうかも、自己判断せず歯科医師に相談してください。

マウスピースに関するよくある質問

ナイトガードでマウスピースを上にだけつける理由とは?

マウスピースは上下どちらでも作ることができます。歯と歯の間に緩衝材としてマウスピースがあれば歯を守る目的を果たしているので、どちらでもいいのです。
しかし、多くのドクターが基本的に上のマウスピースを作ります。
あごの構造上、上あごは動かず下あごは自由に動きます。個人差はありますが、動かない上あごに装着する方が違和感が少なく、下あごはフリーに動く方が自然だからです。
しかし、歯周病など歯の位置がズレる心配のある歯が下にあるときや、被せ物が多く歯を守りたいときなどは、歯の固定も兼ねて下のマウスピースを作ることもあります。
ドクターの治療方針や判断によるところが大きいので、マウスピースを下に装着したい場合は申し出るようにしましょう。

歯ぎしり用と矯正用のマウスピースは兼用できる?

歯ぎしり用と矯正用のマウスピースは、基本的に兼用できません。歯ぎしり用は強い力を受け止めるために厚く作られ、矯正用は歯を少しずつ動かすために薄く作られていて、目的も形も違うためです。
矯正用のマウスピースは歯の削れをある程度防げますが、歯ぎしり用のように十分に歯を守ることはできません。マウスピース矯正中に歯ぎしりや食いしばりが気になるときは、担当の歯科医師に相談しましょう。
歯ぎしりがある人の矯正の注意点は、「歯ぎしり・食いしばりがひどくてもマウスピース矯正はできる?対策や注意点を解説」で詳しく紹介しています。

マウスピースのお手入れ方法は?

口に入れるものなので清潔に保つことが大切です。また、紛失にも注意しましょう。
マウスピースのお手入れの注意点は以下の通りです。
  • 煮沸消毒や熱湯消毒はしない
  • 歯磨き粉は使用せず歯ブラシでこすり洗い
  • マウスピース用の洗浄剤を使う
  • 専用のケースに入れて保管する
マウスピースは熱に弱く変形してしまうので煮沸消毒や熱湯消毒は避けましょう。
普段は水かぬるま湯を使い、やわらかい歯ブラシで軽くこすって汚れを落とします。細かいところは毛先が小さなワンタフトブラシが便利ですよ。
このとき、歯磨き粉は使わないようにしましょう。研磨剤が入っていないものなら使用しても問題ありませんが、研磨剤が入ったものでこするとマウスピースに傷がつき細菌の温床になってしまいます。
普段はこすり洗いで、週一回程度はマウスピース用洗浄剤を使うなど、併用するのもおすすめです。ただ、つけ置きするタイプは、長時間つけるとマウスピースの劣化する可能性があるため、使用上の注意をよく読み洗浄時間を守ることが大切です。
お手入れのあとはしっかり水分をふき取り、専用のケースに入れて保管します。間違って捨ててしまったり、ペットが遊ばないよう安全な場所に置きましょう。
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マウスピースはいつから効果を感じる?

変化を感じ始めるのは、マウスピースをつけて寝られるようになってから1週間くらいが目安です。
はじめはお口の中に異物を入れるため、慣れるまで3日~1週間ほどかかります。また、就寝時に装着する行為が習慣化するまで1週間ほどかかることが多いです。
慣れてくると、朝起きたときのあごの疲れが気になりにくくなったと感じる方もいます。感じ方には個人差があり、違和感や痛みが続くときは歯科医師に相談しましょう。
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マウスピースは目的に合ったものを歯科で作ろう

マウスピースは、歯ぎしり用・矯正用・スポーツ用・いびき用・リテーナーの5種類で、目的によって形もつける時間も違うのが特徴です。歯ぎしり用のナイトガードは、歯のすり減りを防ぎ、歯やあごにかかる力を分散させるために使います。
歯ぎしりそのものを止めることはできませんが、歯ぎしりの治療として歯科医院で作れば健康保険が使え、噛み合わせの調整や点検も受けられます。合わないまま使い続けると噛み合わせが変わることもあるため、市販品で済ませず歯科で相談しましょう。
ソフトタイプかハードタイプか、上につけるか下につけるかはドクターの診断が必要です。まずは歯科クリニックでマウスピースについて相談してみましょう。
歯ぎしりや食いしばりがあって、マウスピース矯正ができるか気になっている方もいるでしょう。
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